
The La's
今回ご紹介するのはThe La's の“There She Goes”です。
The La's は1984年にイギリスのリヴァプールにて結成され、Lee Mavers(リー・メイヴァース)/gtr&Vo と John Power(ジョン・パワー)/ba&Vo を中心に活動をしていましたが、他のメンバーは頻繁に交代をしていました。彼らは1987年にシングル”Way OUT”をリリースしメジャーデビューした後の翌年、1988年にセカンドシングルとしてこの”There She Goes”をリリースします。
There she goes ほら、彼女だよ
There she goes again また彼女の事がよぎって
Racing through my brain ぼくのあたまの中をかけまわり
And i just can't contain, ぼくはそれを止める事ができないんだ
this feeling that remains 体に残るこの感じ、、、
曲自体はそのままストレートに聞けばポップで軽快、彼女との別れを歌った失恋ソングなのですが、題名や歌詞に含まれる“she”には“薬物(ヘロイン)の意味も持たせているようで、決してポップなだけの曲ではありません。
彼らは1989年に本格的なアルバム制作に取りかかりますが、一向にアルバムができない状況が続きます。
このことにしびれを切らせたレコード会社は、セルフプロデュースを望むバンド側の要望を無視し、音楽プロデューサーであるスティーブ・リリーホワイト(XTC,U2,ローリングストーンズなど数々のアーティストをプロデュース)を雇います。
しかし、、、またしてもリリーホワイトの曲の出来に満足いかないバンド側は、とうとう、途中でアルバム作成を放棄してしまいます。
これまでアルバム制作にあたって多大な費用と時間をふんだんにかけていたレコード会社としては、このままでは大きな損害を受けるため、プロデューサーであるリリーホワイトをなんとか説得し、最終的には彼が一人でアレンジ、ミックスを行いアルバムを仕上げることになります。
この行為にバンド側は激怒。ボーカルのリーは、“背の折れた蛇のようで嫌いだ”と公言し、“買うな”とまで言ったそうですが、皮肉にも評論家からのこのアルバムは高評価を得ます。
そして1991年、自らのバンド名を冠にした、たった一枚のアルバム「 The La’s 」を残し、メジャーデビューからたった4年という期間で、彼らは表舞台から消えてしまったのです。
それから15年。
活動を中止していたThe La'sは突然、2005年に再結成を発表します。イギリス、アイルランドでのライブの他、なんと!日本にも来日する事になったのです。このバンドの大ファンだった私も、その朗報に心を躍らせ、どうにか行けるように試みたのですが、、結果行けませんでした。
あまりにもの突然の来日に、当時mixiなどでは“La's来日!”というコミュニティーが出来たほど。それほど、日本のロックファンは彼らの来日を心待ちにしていました。同じイギリスのバンドOasisがThe La'sの大ファンという事はロックファンの中では有名な話ですが、その年の2005年のサマーソニックにOasisとThe La'sの出演が決まります。
同じ日にちに、同じ時間、会場は一緒でも、違うステージでのライブ。
Oasisを観ようか、La'sを観ようか??
きっとファンの中でも葛藤があったに違いありません。
そして当日、Oasisのライブは大幅に送れてのスタート。
“絶対La'sを観に行ってるよね!!”
“La'sのライブ会場にオアシスがいた!!”
ライブが始まるまでの間、当日その場に居合わせたファンにはこのような噂がながれます。はっきりとした真相は不明ですが、どうやら、OasisはThe La'sのライブを観に行ったため、自分たちのライブに遅刻したようです。
たった一枚のアルバムしか出ていないのに、ここまでリスペクトされているThe La’s
いつか本人達だけの手で作られた完璧な1stアルバムを聞いてみたいと思っているのは私だけじゃないはずです。