HEARTS/Double Bside

HEARTS
Double

「晴れのち」

2017,04,22
モダンジャパニーズ
櫻井焙茶研究所

これまで何度かアタックするもいつも満席….。
とある休日、今度こそ!と思い、尋ねてみるとやっと入店することができました。
お茶の世界を堪能できる「櫻井焙茶研究所」。
青山スパイラルビルの5Fという立地にありながら、表参道の喧騒を感じさせない店内の凜とした佇まいに、早くも心が躍ります。

焙じ茶の香り漂う店内に足を踏み込むと、ガラスで囲われた焙煎室が。
そこには数種類の茶葉や茶器がずらりと並び、きりりとして澄んだ空気が漂い、自然と背すじがすぅっと伸びます。

店内は和を大事にした作りで、
どこもかしこも見惚れるほど美しい空間。
茶房では日本各地の伝統的な製法で作られているお茶、自家焙煎による焙じ茶、四季折々の植物や木の実、果実などを織り交ぜたブレンド茶を味わえ、
ロースト、ブレンドを基本に、日本茶の新しい楽しみ方を提供されています。

白衣を纏ったスタッフの方に案内された先には「櫻井焙茶研究所」の核となる茶房が設けられています。 ミニマムかつ洗練された空間に鎮座するようなコの字型の8席のカウンター。
この日は、1時間ほどかけて玉露、煎茶、焙じ茶、抹茶(お薄)が順に出され、それぞれお茶に合わせて、季節の和菓子とともにお茶をゆっくり味わう「お茶のコース」をお願いしてみました。

まず、全国からセレクトした茶葉が入った木箱から、一つ一つの産地や香り、特徴の説明を受けます。

有名どころから初めて耳にした産地に多様な種類。そこから選んだ茶葉をその場で焙じ、淹れてくださるのですが、
お店の方の所作の一つ一つが無駄なく、また惚れ惚れするほど美しく、思わず見とれてしまいました。

非日常的な空間でじっと所作を眺めていると、自然と心もほぐされ、単にきれいというだけではない「もてなし」の心に感動します。 

手間暇かけることで味が変わる日本茶の魅力。

玉露、煎茶、焙じ茶などは1煎2煎3煎と、それぞれが違った味わいを楽しめますが、特に1煎目の感動的な旨味、煎じた後の玉露の茶葉に塩ぽん酢をかけていただくなんとも斬新で不思議な味は、ぜひ体験していただきたいものです。

ほうじ茶は店内で焙煎し、そして飲む直前に目の前で炒ってくれるというパフォーマンス。この日は深煎りをオーダー。コクと共にほどよい苦みと香ばしいさが口の中を包み、なんとも言えない味。お茶のいい香りで店内は満たされ、思わず深呼吸してしまうほどです。

〆は鮮やかな緑色の抹茶をたてたお薄。
上質な香りときめ細かい泡で、軽くて柔らかくまろやかな味わいを楽しめました。

 

 

鉄釜のまろやかな湯で淹れてくれるお茶は至福の一杯。
食事のお供に、食後の余韻にひたる時に、あるいは喉の渇きをうるおすために。
私たち日本人にとって、お茶はとても身近な存在です。

 

日本茶の魅力を余すところなく体感できる場所。
空間、所作、香り、味わい、余韻。そっと五感を刺激し、日本茶の新たな魅力に取り込まれ上質な時間を育んでくれる素敵なお店でした。

 written by Double / kayoko kashiwa