HEARTS/Double Bside

HEARTS
Double

Singalong

2014,12,17
The Pogues
「Fairy tail of New York」

今回ご紹介するのはThe Poguesの「 Fairy tale of NewYork」

知る人ぞ知るクリスマスソングです。


The Poguesは1982年にアイルランド人のボーカル、シェイン・マガウアンを中心にロンドンで結成されたバンドで、アイルランドの伝統音楽とパンク・ロックを融合させた、アイリッシュパンクの代表的なバンドです。アイリッシュパンクという音楽のジャンルを作ったのはThe Poguesだと言われています。


当初はPogue Mahone(ポーグ・マホーン)というバンド名で活動していましたが、ゲール語で「キッス・マイ・アス(俺のケツにキスしろ!)」という意味だったため、放送コードにひっかかり、ポーグスと改名したという逸話もあります。


「Fairy tale of NewYork」はそんな彼らの最大のヒット曲です。

私はもともと曲のメロディーと、シェインの声が好きでよく聞いていましたが、この曲の歌詞を調べてみると、想像した以上に深い意味がありました。

この曲の舞台はニューヨーク、クリスマスの夜。
若い頃に、夢を追ってアイルランドから移住してきたある老夫婦。2人は年老い、夢は破れ、こんなはずじゃなかったとお互いを罵り合います。曲中、幸せだった若い頃の回想シーンのような歌詞もありますが、それが余計に老夫婦のおかれている厳しい現実を物語っているように感じます。



The boys of the NYPD chore     
(ニューヨーク市警の聖歌隊が)

Were singing "Galway Bay"
(「ゴールウェイ湾」の歌をうたい)

And the bells were ringing out
(教会の鐘の音は鳴り響く)

For Christmas day
(クリスマスの日を祝って)

これはサビの部分で、男女の掛け合いの間に幾度も繰り返されていますが、何故ニューヨーク市警の聖歌隊がサビに出てくるのだろうと思い、調べたところ、当時アイルランドから移住してきた人達は条件の悪い、命がけの危険な仕事にしかありつけい歴史的事情があったようです。そこで、危険な仕事として分類される警官には、多くのアイルランド人がいたようです。

「Galway Bay」という歌はアイルランドの代表的な歌で、つまりこの歌のニューヨーク市警の聖歌隊の警官はアイルランド人たったという事なのですね。深いです。

曲の最後には、老夫婦がお互いの大切さを思いなおすように歌う歌詞もあり、切なく、泣かせる曲です。
歌詞の意味を知ってから聞くと、まるで1本の映画を見たような気持ちになります。

クリスマス・ソングといえばハッピーなものが多いですが、こういう曲の方が私個人的には心に残ります。


さらに、この曲のデュエット相手の女性シンガーはThe Poguesの音楽プロデューサーの奥さんだそうです。
女性ヴォーカルを使ってみたいと思ったプロデューサーが、試しにメンバーに歌を聴かせてみたところ彼女の歌声を気に入り、そのまま歌うことになったそうです。これには驚きです。


そしてヴォーカルのシェインは実際においてもかなりの酔いどれキャラで、この曲の男とイメージが重なる部分もあると思います。ステージ上でも片手にタバコ、片手に酒、千鳥足で呂律も回っていないですが、それでも許されています。Pogues=酒 彼らはこんな図式が成り立つようなバンドなのだと、ファンは理解しているのでしょう。

ちなみに、シェインはセックスピストルズの暴力的なファンとしてちまたでは有名だったそうです。その名残は、彼のめちゃくちゃな歯並びに勲章として残されています。納得ですね。


ファッションはというと、彼らはイギリスの労働者のような、ちょっとやさぐれたおじさんのようなダサかっこいいファッションをしていましたが、カッコつけすぎた、嘘っぽい洋服を着るよりシンプルでその人らしさがちゃんとある彼らのファッションは私は大好きです。彼らはドクター・マーチンの靴を好んで履いていたそうですが、元々は労働者の為に作られた靴です。
しかし、当時音楽と結びつく形でのカルチャーを打ち出していった彼らが愛用することによって、(他にもセックスピストルズ、イギーポップ、クラッシュなども愛用)ドクター・マーチンの靴が一種のアイコンになり、ファッションデザイナー達にも刺激を与えてコラボレートするようになりました。そして今ではモードファッションの必須アイテムとしても捉えられています。

音楽とファッションは、やはり繋がっているんですね。


この「Fairy tale of NewYork」は「ニューヨークの夢」という邦題がついていて、ピーターバラカン氏がラジオで流したことで、日本でも音楽好きの人達には注目されている、ロック界の大名曲です。

クリスマスソングにはワムの「Every Thing she wants」や、マライヤ・キャリーの「恋人たちのクリスマス」などメジャーでHITしている曲も色々ありますが、The Poguesの「Fairy tale of NewYork」でいつもと違ったクリスマスを過ごすのも良いかもしれませんね。

 

 written by
HEARTS/北川ちぐさ